ペットを自宅で火葬できる時代があった?時代とともに変わる供養方法
ペットが亡くなったとき、昔は自宅の庭に埋葬していたという話を聞いたことがある人もいるでしょう。ペットの火葬・埋葬などの供養方法は時代とともにスタイルが変化しており、現在は自宅での火葬は難しいケースがほとんどです。それでは、火葬の際はどのような選択肢があるのでしょうか?今回は、ペットの火葬について詳しく解説します。
自宅火葬が許されている時代があった
大切なペットが亡くなったとき、「一緒に過ごした自宅で火葬をしてあげられたら…」と考える人は多いでしょう。昔はペットが亡くなった際には、自宅火葬を行ったり、庭に埋葬したりすることも珍しくありませんでした。しかし、現在では衛生面や有害物質の関係から、自宅での火葬を行うことは非常に難しくなっています。
そもそも火葬場では、ペット専用の火葬路が用意されています。遺骨が少しでも美しく残るよう1,000度前後の高音で焼却し、瞬時に冷却を行います。また、1次・2次と段階的に燃焼することにより、有害物質や煙、においなどを最小限に抑えているのです。自宅火葬で1,000度もの高温を作り出すのは難しいため、普通に燃やせば有害物質や煙、においなどで周辺住宅に迷惑をかけることになってしまうでしょう。
また、法律の観点からも自宅火葬は非現実的であるといえます。廃棄物の処理および清掃に関する法律(廃棄物処理法)によると、自宅の庭などで廃棄物を燃やすことは法律で禁止されています。ペットの遺体は法律上は一般廃棄物にあたるため、自宅の庭で燃やすことはできません。焼却環境が整わないこと、法律でペット火葬が禁止されていることなどから、ペットを自宅で火葬するのは難しいといえるでしょう。
火葬はどこに依頼すればよいのか
ペットが亡くなった時、火葬をどこに依頼すべきか悩んでしまう人は多いです。
火葬の依頼先には、ペット葬儀業者、自治体、ペット火葬移動サービス業者の3つの選択肢があります。ここではそれぞれの概要や利用のメリットなどを詳しく解説するため、ぜひご参考ください。
ペット葬儀業者・ペット霊園
ペット葬儀業者や火葬施設付きのペット霊園に火葬を依頼する場合は、直接業者に問い合わせを行って火葬を予約します。最近ではペット葬儀業者・ペット霊園にもさまざまな供養方法が取り入れられており、火葬プランの選択肢も多いのが特徴です。
また、飼い主の要望があれば、自宅までペットの遺体を引き取りに来てもらえるサービスがある業車も少なくありません。火葬だけでなく出棺や納骨なども行えるため、大切なペットの最期にしっかりと立ち会いたい人に向いているでしょう。人の葬儀と同じようにお見送りしたいという人は、ペット葬儀業者やペット霊園を選択するのがおすすめです。
各自治体
ペットの火葬は各自治体でも依頼可能です。ペット火葬を依頼したい旨を伝えると予約が取れるため、当日は指定された斎場へとペットの遺体を運んで火葬を行います。
ペット火葬移動サービス業者
ペット火葬専用の移動車にて火葬を行うサービスです。自宅や思い出の公園など、好きな火葬場所を指定可能です。火葬車には排煙装置などが設置されているため、車の中で火葬しても煙や匂い、有害物質が気にならず、安心して火葬を依頼できます。
火葬場まで移動する手間が省けること、業者によっては24時間火葬に対応していることなどから、移動が難しい高齢の飼い主や、日中は仕事で忙しい飼い主からとくに人気を集めています。ただし、ペット火葬移動サービスではあくまで火葬のみを請け負っているため、納骨などはほかの業者に依頼することが必要です。
これからの時代のペット供養方法
近年では「ペットは家族の一員」「人間にとって身近な存在」といった考え方が以前までよりも浸透していることから、自治体を含むさまざまな火葬サービス業者において、より飼い主の気持ち・思いを尊重した火葬プランが提供されるようになっています。しかし、火葬を経て飼い主の元に返ってきた遺骨は、現在でも扱いが明確化されていません。人と同じように四十九日などの供用を行うこともあれば、遺骨をネックレスとして身につけて過ごす人もいます。
飼い主によってはペットと同じお墓に入ることを希望する人も少なくありませんが、人とペットが一緒に入れるお墓はほとんどないのが現状です。ペット供養の在り方は、人々のニーズや考え方の変化によって、今後もさらに整備されていくことが予想できます。法律の改正や業者の対応などの動向に注目し、後悔のないお別れができる選択をしましょう。
まとめ
今回は、ペットの火葬方法について詳しく解説しました。昔はペットの火葬を自宅の庭などで行うことも可能でしたが、現在は近隣住民に煙やにおい、有害物質により迷惑をかけてしまうことや、法律の面からも現実的でないといえます。火葬の際はペット葬儀業者や自治体、ペット火葬移動サービス業者などに依頼して行いましょう。依頼先のそれぞれで特徴やメリットが異なるため、飼い主の事情・心情にもっとも合う方法を選択してください。また、最近では時代の流れや人々の考え方の変化により、ペット火葬にもさまざまなプラン・方法が生み出されています。今後もサービスの多様化がさらに進むことが予想できるため、動向に注目しましょう。